東京大学法学部卒業後、日本の4大法律事務所のひとつ「長島・大野・常松法律事務所」で30年に亘り最前線の企業法務、海外留学、執筆活動、法科大学院の講師等を経験、忙しくも充実した弁護士生活を送ってきた杉野由和さん。一方、定年を前にどこかやり残しを感じる部分もあったそう。「身近な困った人を助けたい」という弁護士を志したときの初心を貫きたいという気持ちが強くなりました。
「これまでは国内外の大企業がクライアント、言うならば強い者同士のケンカの舞台に立っていました。これからは得意の法律を武器に自分がここまで生きてこられたことへの感謝を新たに世の中に返していきたいなと。世のために生きなさい、戦時中を生き抜いた親にそう言い聞かされて育った世代です」
大学卒業以来毎年欠かさず同窓会を重ねてきたという気心知れた同級生にその想いを打ち明けました。共感してくれた5人の仲間が集まり、同ビジネスコンサルティング株式会社の併設に至りました。
「手前味噌になりますが心から尊敬信頼できる仲間たちです。銀行・証券・商社・メーカーとそれぞれの分野の第一線で活躍し、バブル崩壊・リーマンショック・東日本大震災等といった数々の修羅場も乗り越えてきました。マネジメント経験も十分です。たくさんの引き出しを持っていますので、さまざまな場面で地域の皆さんのお役に立てると確信しています」
自身の永年の弁護士経験で伝えたいこと、それはどんな困りごとでも早い段階でプロを頼ってほしいということ。例えばお店においてのクレーム対応も初期対応が大事、仕入契約や家賃契約に関してもきちんとした契約書があることでその後のトラブルを回避できることもたくさん、ビジネスも同様に事業計画が不十分なまま見切り発車してしまうことで行き詰まってしまう事業者も多いのではないかと感じているそうです。
「店主さんでも一般の家庭の方でも弁護士事務所やコンサル会社を訪ねるのは、よっぽどの時といったイメージがあるようです。困り果ててから来られるケースも少なくありません。日頃から相談してもらい、必要であれば書面で備えをしておく、事業計画を十分に練りあげておく。予防・戦略的に活用してもらえれば助けられることがぐっと多くなりますから」
商店街のイベントに参加して焼鳥を焼いたり、地元の飲み屋で知り合った人の子どもの受験勉強をみてあげたり。新しい人とのつながりも心地良く、用賀というまちへの思いも一層強くなりました。
「いつかマンションの一室ではなく、路面に事務所を構えられたら。地域の人が気兼ねなく顔を出してくれるサロンのような場になれたら最高ですね。法律・ビジネスに限らない大人のお困りごとの解決はもちろん、ときに子どもに勉強を教えてあげたり、親には話せない相談に乗ったり。皆が楽しく用賀で生活出来る、そのためのお手伝いをしていきたいと思っています」