「基本歯科治療は患者さんに口を開けていただいて僕たちが治療をする、いわば患者さんは受け身となるものですが、矯正は患者さんが主役です。通院は月に1回程度、日頃の患者さん自身の口腔ケアがとても重要になります。医師はゴールに向かって患者さんに伴走していく脇役という特殊な診療科だと思っています」
沖原先生が歯科医師を志したのは高校2年生のとき。生涯自分の腕で働ける資格を持ちたいと医療系の専門職を考え、手先が器用で細かい作業が好きだった特性を生かせるのでは、と小さな頃から一番身近に感じていた歯科医師を選択しました。
広島大学歯学部に入学、研修医として虫歯や入れ歯の一般治療に携わるなか、虫歯になるリスク、歯を失うリスクを減らす予防の大切さを痛感、その一端を担う矯正の専門医になることを決意します。卒業後、東京医科歯科大学へ。診療、研究、学生指導と10年数年に亘り、学識と臨床経験を積み上げてきました。
「大学病院にいらっしゃる患者さんには、高度な治療が必要な方のほか、受けている治療やその結果に悩んでいる、いわゆるセカンドオピニオンを求められる方も多く見受けられました。矯正は時間も費用も要する治療ですから、『こんなつもりではなかった』という後悔だけはしてほしくないんです。地域の身近な開業医となって、よりよい人間関係を育てながら患者さんに寄り添っていきたい、との思いに至りました」
初診は40分かけて丁寧にカウンセリング。治療をすべきなのか、出来ればしたほうがいいのか、必要がないのかを見極め、治療方針や費用の話も齟齬なきよう明確にしっかり伝えることを大事にしているそう。
「矯正期間は年単位、終わった後の経過観察も含めると通院いただく回数こそ多くありませが、とても長いお付き合いになります。その長い治療を終えて、満足されている姿を目の前で見られることがやりがいですね。医局時代ですが、小学生からずっと診ていた子どもが中学生になって、治療を終了する際、手紙を手渡されたんです。『先生みたいな歯医者さんになりたい』と書かれていて感激しました。僕の宝物になりました」
まだまだまちの専門医の少ない分野、京王線沿線の少し離れた地域から来院される方も少なくないそう。親御さんと心を通わせながら、矯正の目的が理解出来ない小さな子どもも通院が楽しみになるような病院であり続けたいと考えています。
「家族やお知り合いに自信を持って勧めていただき、頼っていただける地域の矯正歯科医になることが目標です。わかりにくい治療だと思いますので、まずは気軽に相談いただければ、と思います」