「昔は私、人が苦手でひどい人見知りだったんです。話せない、話したくない気落ちもわかるし、話す楽しさもわかる。いろんなタイプの人が来てくれて、徐々に顔が繋がって気づけば打ち解けているような場を目指しています」

静岡県出身の阿部さんは結婚を機に上京。当時は専業主婦、烏山で子育てに奮闘するなか、大好きなモノづくりの仲間と知り合い、仲間と和気あいあいイベント出店など手掛けるように。その縁で知人のレンタルボックス兼ギャラリー店舗でカフェ出店の話が舞い込みます。

「料理づくりは大好きでしたが、まさかお店を持てるだなんて想像もしていなかったこと。主婦業だけでは知り合えなかったであろう、いろんな人と出会える楽しさを知っちゃいました(笑)」
3年後、料理の腕前と人柄が買われ、当時北烏山にあった「cafe LOFAH」へ。日本女子体育大学の向かいの立地でたくさんの学生のファンを増やしました。その後事業継承を受け、南烏山の物件への移転を経て昨年現在地へ。コロナ禍は閉店を本気で考えたものの、待ってくれていたお客さんの存在に背中を押されて今があるそう。

「ここは烏山で長年愛され、私も大好きだったワインビストロの名店でした。ご家庭の事情で遠方への移転が決まられた際、同郷であるオーナーさんが『あなたなら』と誘致してくれて。その思いを裏切らないよう頑張らなければといつも思っています。私の目標の店です」

カフェを名乗りながらも、お腹いっぱい食べてもらいたいと人気のスパイスカレーや白いビーフストロガノフなどの定番ほか食事メニューが充実。洋食屋の腕前でありながら、家庭料理の温かさを兼ね備えています。目でも楽しんでほしいと見た目の美しさにもとことんこだわります。
「料理の盛り付けが大好き。立体感と色合いもすごくこだわっちゃいますね。『わー、すごい』なんて声が聞こえると嬉しくなっちゃいます」

北烏山時代に気に入って無人販売所で購入していた野菜や果物の生産者「稗本農園」と改めてお客さんの紹介でつながる縁に恵まれ、料理づくりがより楽しくなったそう。
「旬のモノを定期的に届けてくださいます。とにかく美味しいから、食事にデザートに大活躍。よく知る野菜だけではないので初めて扱う野菜はイチから調べて勉強します。お題をもらうような楽しさがありますね」

阿部さんがライフワークで手掛ける地元「カラスヤマ手作り市」の事務局も兼ねる同店、そのつながりのお客さん、食事をしっかり食べに来る男子学生、おしゃべりを楽しむ近所の主婦たち。まさに老若男女が集います。
「時間があるとき、『誰かいる』なんて気兼ねなく来てもらえる店でありたいです。美味しい食事のあるボーダレスカフェです。イベント時も遠慮なく、入ってくださいね」


