
「小さなカウンターを囲む座席のレイアウトにこだわりました。会話も生まれますし、ひとりでPCに向かっている方にもリビングにいるような孤独ではない居心地のなかで作業してほしいと思いました。僕がカウンターに立ってお客さんと話したいというのが一番の理由ですが(笑)」
オーナーの葛西さんはコロナ禍で前店の経営に見切りをつけ、これからの何かを見つけようと興味のあった歴史の地を巡るためひとりヨーロッパへ渡りました。そのひとつのオランダの文化に俄然興味が沸いたそう。成熟したコーヒー文化、驚く美味しさのクロワッサン、日常に溶け込んでいるビーガンといった、まだまだ日本で知る人の少ないその文化を伝えることを生業にしようとコーヒーインストラクターの友人とタッグを組んで開業を目指しました。


「せっかくの開業、大胆にも憧れの『Mellow Yellow』の名を継いで歴史をつなぎ、文化を継承できたらと思い立ちました。必死で情報を集め、伝説のオーナーにお目にかかり、ご承諾いただける奇跡が。小さい店だけれどアムステルダムとの架け橋になって恩返ししないと、と思っています」
オランダは屈指のビーガン大国。ファーストフードチェーンにもビーガンメニューがあり、レストランはもちろん日常のスーパーにもビーガン商品が並んでいるそう。同店は本場さながらの健康志向、コーヒーのミルクは有機豆乳も用意、スムージーやレモンサワーのフルーツは防カビ剤無使用のもの、手作りクッキーは砂糖の代わりにメイプル、生地にはオートミールや全粒粉を使用、ポップコーンはバターの代わりに良質のオリーブオイルを使うこだわりです。

「日本も口に入れるものへの意識がだんだん高まっていますし、身体にいいものを提供することは大事にしていきたいと思っています。もちろんオランダらしく、というベースの考えもありますが、多世代の方に来てほしいので」
ドイツのオーガニックのジビエのドッグフードも用意。看板犬メローちゃんに会いにその兄弟犬や友人犬も多く来店しています。

「おかげさまでメローはお客さんにとっても可愛がられていて、飲食店の『ボトルキープ』さながらの名前の書いた『おやつキープ』があります(笑)。オランダはレストランや公共機関もペットの犬同伴が当たり前の国です。ここも人間と同じくらい犬がいることも(笑)。気づけば飼い主さんも犬同士も仲良くなっている、僕の好きな風景です」
きっとずっと東深沢で待たれていたふらりと寄れるアットホームな社交場。友人を呼び、家族を呼び。小学生がいたり、80代の元気なシニア層がいたり、多国籍の外国人がいたり。自由で多様性を重んじるオランダそのままの空気が醸成されています。

「店内に時計を置いていません。理由はそのまま、時間を見ないでゆっくり過ごしてほしいから。オランダの情報提供は出来ますので渡欧する予定の方はもちろん、オランダに興味のない方ものぞいてくださいね」



