「問診票でこれまでの治療経験を伺っているのですが、『何の治療をされているかわからなくて怖かった』、『治療が痛いととても言い出せる雰囲気じゃなかった』、『何で長期間通わせられているのかわからなかった』、嫌な思いをされてきた方は決して少なくありません。歯科医院が大の苦手になってしまい、症状がひどくなるまで我慢して我慢して、結果治療が長引きより嫌いに、という悪循環はとても残念です。治療を提供する立場とはいえ、医師側の都合ではなく患者さんの立場に立って気持ちを考える、という部分が大事だと常に肝に銘じています」
出井先生のお父さまも歯科医。生き生きと仕事に取り組み、患者さんに慕われ続けたその姿を見て育ち、中学1年生のときには自然と同じ道を歩むこと決めていたそうです。高校生になると福祉分野にも興味を持ち、夏休みには重度の障害のある方の自宅に通い、食事づくりや買い物を介助するボランティアを経験しました。福祉系の道への思いも高まるなか、神奈川歯科大学に進学、障害者歯科を専門に学びました。
「障害者歯科での学びと経験が今日の医師としての土台になっています。恐怖を取り除いて少しでも前向きに治療に向き合ってもらうため、治療方針や治療方法をご理解いただけるように丁寧に説明する。障害の有無や年齢に関係なく大事なことだと思っています」
大学卒業後は障害者歯科に所属しながら、都内や神奈川県内の他の歯科医院で週に3、4日は勤務、たくさんの患者さんと出会い、臨床経験を積み上げてきました。また、自身が母親となったことで、小児歯科への熱意もより高まったそう。そして一昨年、地元にて自身の理想を詰め込んだ同クリニックを開業しました。
「安心していただける雰囲気づくり、丁寧な説明そして肝心の治療ですが、麻酔を37℃に温めて注射する、極力細い注射針を使用するなど痛みへの配慮を最大限に工夫しています。『歯医者さんのイメージが変わった。これくらいの痛みなら大丈夫』なんて言っていただけると心からほっとします」
「慣れている先生にずっと診てほしいから」と当時勤務医であった出井先生を頼って遠方から御家族で通院している患者さんもいるそう。
「地域のかかりつけ医、歯科治療の駆け込み寺のような医院になることが目標です。何年も何十年も歯科医院に行かれてなかった方、『今更恥ずかしくて見せられない』なんておっしゃらずに是非私に診せてください。症状が悪いほど、医師として腕の見せどころになりますから。意を決して予約をしてくださった患者さんのお気持ちを大事にしっかり向き合ってまいりますので、どんどん頼っていただけたらと思っています」