大将の福田侑樹さんは佐賀県有田町出身。高校卒業後、地元で超大手自動車メーカー系列会社に就職。給料も休みも待遇は申し分なし、安定は得たもののやりがいが見いだせなかったそうです。
「やっぱり好きなことを仕事にしなきゃダメだ、って改めて気づかされました。昔から漠然と飲食店を持つことに憧れを持っていたので、修行を積んで料理人になろうと決心、自分はフレンチやイタリアンのシェフって柄でもないから(笑)、和の職人を目指そうと。寿司か焼鳥か、よし焼鳥で勝負しようと思い立ちました。自分が子どもの頃まで母方の祖父が養鶏場を持っていたと後ほど知りました。縁に導かれたのかもしれません」
目的に向けてお金が貯まった7年後に退職、博多に渡り、人気の焼き鳥店で修行をスタートしました。料理の基本からみっちり腕を磨くこと5年、同店店主に系列の東京の吉祥寺の店で働くよう背中を押され、上京を決意しました。
「生まれ育ったところや前店のお客さんを引き継いで、という環境よりゼロからスタートして自分の実力で店を繁盛させてみたいと考えていた自分にはぴったりの挑戦でした。その店は鶏鍋主体だったのですが、焼鳥の技術のないスタッフにいちから指導させてもらい焼鳥店へ業態を変えました。かけがえのない経験になりました」
独立に際し、信念のゼロからのスタートとして吉祥寺エリア以外の路面店を探すなか、立地とまちの雰囲気が一目で気に入った山下で開業することが出来ました。
博多式スタイルを取り入れた自家製の酢タレの掛かったキャベツはおかわり自由。ながさき対馬地鶏、おおいた冠地鶏、希少な去勢鶏など部位毎に選び抜いた鶏を仕入れ、毎日1本1本店内にて手作業で串を打ち、備長炭で丁寧に繊細に焼き上げていきます。また、お通しを皮切りに日替わりのおばんざい盛り合わせをはじめとした一品料理の数々に鍋料理や〆のラーメンに至るまで、豊富なメニューはどれもその美しさと確実な美味しさでお客さんをうならせてきました。お酒も幅広いラインアップを取り揃え、限られた飲食店でしかお目にかかれない希少なビール「白穂乃花」も楽しめます。
「うちは屋台の雰囲気でもないし都心にある高級店の雰囲気とも違います。地域に根差し、愛される『いい焼き鳥屋さん』であり続けたいと思っています。有り難いことに週に何度も通ってくださるお客さん方もいらっしゃいます。そんなお客さんの期待にお応えできるよう、これからも手抜きなし妥協なしで美味しい料理を提供してまいります」