女性のみのスタッフが物腰柔らかく息ぴったりに切り盛りしている同店、落ち着いた雰囲気のなか食事を楽しめます。提供されているのはミックスフライ定食、焼き魚定食、生姜焼き定食、ハムエッグ定食などなど、万人に愛される「おふくろの味」の定食ものがメイン。ボリューム満点、出来たての手作り料理を求めて、連日たくさんのお客さんが足を運んでいます。
青森県出身の店長の川口さん。19才の時に上京、いつかカフェを持つことを漠然と夢見ながら、業態の異なる飲食店でホールとキッチンの経験を積んできました。
「カフェ、レストラン、居酒屋、夜はライブイベントをする飲食店など、変わったところではお寺の敷地内にあったマジックバーで働いたこともありました。服飾の学校に通っていて一時はアパレル関係にも興味を持っていたのですが、やはり飲食店の現場に立つことが性に合っていて。お酒の場の楽しさというより、料理をつくって食べていただく、ということにやりがいを感じるようになっていました」
独立前に働いていた下北沢にあった人気の「食堂兼居酒屋」のあり方が自身に大きな影響を与えたそうです。
「食事をすることを楽しみにいろんな世代の人が集まっていました。お酒で盛り上がる人もいれば、飲まない人も居心地よくいることができる自然な空間って素敵だなあって。特別な日のごちそうでなくても、毎日でも食べたくなるごく普通のメニューを心を込めて手作りすればお客さんに喜んでただけるのでは、と思いました」
目も心も行き届くようにと小さな物件を探し、気心知れた昔の仕事仲間をスタッフに誘い、梅ヶ丘での開業に至りました。
出来るだけお腹いっぱいになって帰ってもらうことも食堂の役割と、ご飯は大盛か1杯のおかわりが無料。ミックスフライは好きなものをチョイス、豆腐や納豆、目玉焼きなどちょっとあると嬉しいサイドメニューを充実させるなど、カスタマイズが楽しめるのも人気の理由です。毎日のように来てくれるお客さんも少なくないそう。川口さん自身が大好きなアジアンメニューも人気です。
「食堂ではありますが、自分らしくゆっくり丁寧に、を大事にしていきたいと思っています。『ここが出来て助かっている』と言ってくださるお客さんたちの声が励みになっています。思い返せば7年前に友人から譲り受けたうちの愛猫、梅ヶ丘で拾われた子でした。きっと梅ヶ丘とのご縁を運んできてくれたんだと思います。まだまだこれからですが、梅ヶ丘の皆さんの暮らしのお役に立てる店に育てていきたいと思っています」