「昔タバコ屋だったここならご近所付き合いが生まれて楽しいコミュニティが出来るに違いない、カウンターを見てそんな予感がしました」
石川県出身の代表の本澤佑次さんが2018年に起業した同店、昨年現在地に事務所を移転しました。おしゃれでカジュアルな事務所やスタッフの雰囲気もさることながら、SNSで現場の工事風景をセンスよく発信したり、デザイン性の高いオリジナルグッズを販売したり、本業以外でまちとのつながりを生み出したいと事務所の一部をレンタルスペースとして活用したり。開かれた新しい視点を持つ工務店です。
「ときにキツイ、汚いなどのイメージが先行してしまう建築業のイメージを払拭したいと思っています。安全上、工事現場は外部から見えないよう閉鎖してしまっていますが、そのなかでそれぞれの職人たちがいろんな美意識を大事に1mm差さえもこだわる作業を追求しています。そのカッコよさをうまく伝えたいですね」
小さな頃から手先が器用でモノづくりが得意だった本澤さん、学生時代は内装職人であるお父さんに付いてさまざまな現場の手伝いに行くのが楽しみだったそう。高校の建築科を卒業後、自身は一般住宅ではなくまちの店づくりに興味が向かいました。
「それまで通り過ぎられていたその場所が店として誕生し、誰かの行きつけになったり、ときにはプロポーズの場所になったり。自分が関わったその店にたくさんのひとの物語が生まれる風景を想像するとワクワクしました」
美容院、レストラン、洋服屋などこれまで手掛けた物件はチェーン店ではなく個人店ばかり。オーナーとコミュニケーションを深め、二人三脚で店づくりを進めるのが同店のスタイル。オーナーの要望はもちろん、言葉にしきれない想いや考え方、感性を引き出してカタチにして表現し、世界にひとつのオーナー自慢のオリジナルな店に仕上げること。これこそがやりがいであり、自分たちの使命と考えています。
引渡し後も続くオーナーとのお付き合いが楽しみのひとつ。買い物に出向いてお客さんで賑わう様子に感激したり、店の周年に招待されたり。そんな温かいつながりは次のつながりを生んでいきます。腕とセンス、そしてひとつひとつの物件に誠実に向き合う姿勢に共鳴したお客さんが次々ついてくれています。
「店の完成の先にあるお客さんの幸せを願って頑張っています。でも、仕事ではありながら、業務をこなすというような意識はまったく持っていません。好きでやっていることだから。お金をいただいてこんなやりがいあることが出来るなんて僕たちは幸せです」