「お客さんに『美味しい』はあたりまえに思ってもらえないとダメですから、心を込めて作ります。プラスアルファの『楽しい』を一番大事にしています。『楽しかった』『いい時間だった』『また来ます』が嬉しいですね」
丁寧な語り口の日本語を流暢に話しながら、いつもとびきりの笑顔でお客さんを出迎えてくれるロベールさん、生粋のパリジャンですが奥さまは日本人。若林在住歴はすでに27年になります。今ではパリよりすっかり若林のまちに詳しくなっているそうです。
フランスのブルゴーニュ地方の専門学校で飲食店経営のノウハウを学び、現地のレストラン、来日後は青山や銀座の高級レストランのマネジメントをしてきました。これまでは特別な日、記念日に訪れるような空間で限られたお客さんを出迎えることが多かったそうです。
「お客さんは背筋を伸ばしてちょっと緊張した面持ちでテーブルを囲んでいました。それももちろん素敵な時間です。でも僕自身は知らないお客さん同士も世間話を楽しんで顔見知りになれるような、いつでも行ける「ご近所の店」を大好きな若林で持ちたいと考えるようになっていました」
昨年若林駅前のバーの開店前の時間帯を借りて同店を開業。10ヶ月が経った頃、現店舗のオーナーとのご縁が生まれ、緑道沿いの現在地への移転を決めました。大好きな緑ある風景を感じながら、ゆったりした空間でお客さまを迎えています。
フランス本場の正統な技法にて、選りすぐりの食材を丁寧に調理しています。ガレットは日本産の蕎麦粉を100パーセント使用。キッシュのパイ生地は粉から手作り、卵のフィリングも一切水を加えず上質な生クリームと卵液のみで焼き上げています。具材すべては缶詰めなどを使用せず、旬のモノを中心としたフレッシュな野菜から。キッシュ風、ガレット風ではない本物の美味しさを忠実に伝えています。毎週楽しみながら頭を悩ませているという週替わりのメニューは工夫をこらし、これまで一度も同じメニューを提供していません。
「毎週来てくれるお客さんもいますから。同じジャガイモという食材でも、ソテーしたり、マッシュにしたり、煮込んだり。味や食感を変えて、新しい出会いを楽しんでほしいと思っています」
たまには日常の忙しさからひととき離れてリラックス、心豊かな時間を持つことの大切さを教えてくれる店です。
「元気が出ないときも『ロベールのところに寄ってみようかな』って思ってもらえたら嬉しいです。ここにはバカラのグラスやキャビアやオマール海老はありませんが(笑)、いっしょにステキな時間を過ごしましょう。これからテイクアウトメニューも充実させていきますので、気軽に立ち寄ってくださいね」