若きオーナーパティシエ清水さんは高校3年の夏までサッカー一筋。引退を決め、これからの人生を考えたとき、直感でパティシエを目指そうと思い立ったそう。
「もともと洋菓子が大好きで。体重管理のために食べることを我慢していたことへの反動があり(笑)、そして年齢に関係なく挑戦し続け、実力を試せる職業であることが自分の性に合っていると思いました。とはいえ、お菓子づくりどころか料理経験もゼロという(笑)。でも体力、根性だけは十分だったからかな、不思議とやりぬく自信はありました」
製菓学校卒業後は「成城アルプス」で6年。自身も驚くほどお菓子づくりの魅力にはまるなか、なかでも格別に心奪われたのが繊細な職人技の光るチョコレートの扱いでした。日本のチョコレート業界の先駆店「オリジンヌ・カカオ」を次の修業先に選び7年半従事、ショコラティエとしても確かな技術を磨き上げました。その後、独立を見据え、大手企業の商品開発も経験します。
「たくさんの人に知って食べてもらうためには、自分の思いでつくりたいものをつくるだけではなく、お客さんに求められているものを生み出していくという視点を持つようになりました」
いよいよ独立を考えた時期はコロナ禍まっただ中、手始めにとオンラインを開設、縁あってポップアップ販売の機会にも恵まれ、ほどなく洋菓子好きに一目置かれる存在に。そして昨年、夢だった実店舗を持つことができました。得意とするチョコレート菓子はもちろん、珠玉の焼き菓子、生菓子が美しく陳列されています。忙しい日常から少し離れて、優しい気持ちでゆっくり洋菓子を選び幸せな気持ちになってもらいたいと、こだわり抜いた店内空間と接客でお客さまをお迎え。スタッフ一丸となって「LIFENRI」ならではのやわらかな世界観を大事につくりあげています。
「つくりたてをお届け出来ることが実店舗を持てた一番の喜びです。洋菓子は鮮度がとても大事なんです。香りや口溶けのよさを存分に味わっていただきたいと思います」
コロナ禍、人の心に喜びや安らぎを届ける洋菓子の持つチカラをそれまで以上に肌で感じ、パティシエという職業の醍醐味を実感。「美味しくて感動した」「プレゼントしたらとても喜ばれた」、お客さんからのありがたい言葉に応えたく、もっといいものをお届けしなければ、と日々身が引き締まるそうです。
「『リフェンリの近くに住んでいるんだ』なんて地元の人に自慢してもらえる、そして、うちのお菓子を食べている子どもたちがここを離れ大人になって『また食べたくなったから』なんて訪ねてもらえる店になることを目標にしています。うちにしか出せない忘れられない味わいを追求していきます」