「洋服好きでアパレル関係に憧れる若者は多いですがクリーニング業界に、とはなかなかならない。クリーニング師が憧れの職業のひとつになってほしいと思っています」
業界の革命児と言われる洗濯のプロ集団「洗濯ブラザーズ」の次男としてメディア出演も多い店主の茂木康之さん。おしゃれな店づくりもキャッチーな宣伝も、クリーニング業界のイメージを変えていきたい、そんな思いから。もともと洋服が好きで就職したテキスタイル会社でアパレルの生地修整を経験し、その後クリーニング機械販売メーカーへ転職。洗濯、クリーニングの仕方次第で洋服の寿命が大きく変わってしまうことを目の当たりにし、ならば自分の理想とするクリーニングを極めようと15年前にクリーニング店を始めました。1号店となる「LIVRER YOKOHAMA」です。
「僕がやりたかったのは早さ安さに思いっきり逆行した、大事な一張羅を托してもらえる昔ながらのクリーニング屋さん。つてもないなか一軒一軒地域を営業に回り、思いを伝え、腕を認めてもらい、僕という人間に信頼をいただくところからでした」
やがて丁寧な仕事ぶりが重宝され、地域のお客さんに恵まれるようになりました。今でもそのお付き合いは続き、自分の手掛ける洋服を当時と変わらぬ風合いで着続けてくれるお客さんの姿を見ることこの上ない喜びだそうです。
さらに縁あって手掛けた劇団四季の舞台衣装クリーニングでその技術は業界でも話題となり、有名アーティストの依頼が次々舞い込むようになりました。特殊で繊細な衣装に向き合うなか、理想の洗剤を求めて6年もの歳月を費やし独自のオーガニック洗剤を開発、販売しています。
「うちはYシャツ1枚も仕上がりに1週間いただいています。1点1点水洗い、手作業ですので数はこなせませんし値段も張ります。その分、僕たちの技術や知識をわかりやすく、楽しくお客さんお伝えしてご自宅で作業いただければ、との思いに至りました。実際、洗剤をちゃんと選んで正しい洗濯術を覚えれば、9割の衣類が自宅で洗濯できちゃうんですよ」
店内にはワークショップも開催しているランドリーコーナー、図り売りもあるオーガニック洗剤や洗濯アイテムをおしゃれに陳列、洗濯のテーマパークさながらに訪れたお客さんをワクワクさせています。
「洋服を持ち込んで洗い方を聞きながらランドリーコーナーで洗濯して帰られる方も増えてきています。『この洋服の洗い方教えてください』なんて気さくに駆け込んでいただけたらと思っています。信頼は積み重ねるもの、三宿の自慢の店になるようゆっくり育てていきます」