「屋号の由来は万国博覧会のように遠方からもいろんな人に集ってもらえる焼肉の集大成みたいな存在の店になれたらいいなという願いとたまたま思いついた、覚えてもらいやすいカタカナ3文字から。セサミの赤い彼とは関係ないけれどだんだん親近感が湧いています(笑)」
北区赤羽出身の店主の岡田誠太さん、高校を中退後、あちこちの飲食店でアルバイトの日々を送っていたそう。幼なじみと「いつか自分たちも店をやろう」と話していたことがいつも頭の片隅にあり20才を過ぎて一念発起、調理師の専門学校へ。たまたま食べに行った池袋の有名焼肉店の美味しさに感動、縁あって働くことに。そこで腰を据え10年間みっちり修行を積みました。肉の扱いを基本から学び、「細かいとこまで妥協できない完璧主義」と自己分析される性格ですっかりはまったという肉切りの技術を高めていきました。
「肉切りの技術には絶対の自信があります。同じブランドでもその牛によって肉質が違うのはもちろん、部位によって繊維や脂の入り方も違う。刃の入れ方やその角度で味が変わってきてしまいます。ミリの単位で均等に切ることは焼きムラを防いで美味しく肉を焼くために欠かせません」
コロナ流行前に独立を見据え、居抜き物件を探すなか、これまで自身はまったく縁のなかったここ太子堂の物件が見つかり開業へ。修行店での経験を生かし、「肉を焼くところまで」がプロの腕の見せどころとしています。「どこにも負けない最高の焼肉を提供する」という心意気で今日に至ります。
「自分の生まれ育ちも働いていた店も繁華街ばかり、最初は落ちついたまちの雰囲気に少し戸惑いもありました。だんだん通りすがりにというより口コミでお客さんがわざわざ来てくださるようになりました。これからも駅からの距離を言い訳にせず頑張りたいと思っています」
扱う肉はA5ランク和牛がほとんど。部位によってはより美味しいと判断した銘柄肉を使用しています。オリジナルに考案した一品メニューにもこだわりがたくさん。兵庫県の名物「明石焼き」にヒントを得た、ホルモンを特製出汁につけて食べる「ホルモンの明石焼」を始め、これまでにはない焼肉を引き立てる食べ方を提案、お客さんをうならせています。
「焼く間はお客さんのそばに立っているので反応がつぶさにわかります。『おいしい』って言ってもらえるたびに『よし』ってなりますね。1回来てもらえれば、うちの丁寧な味づくりがわかってもらえると自負しています。ここ界隈でいつか、焼肉食べるなら、と最初に思い浮かべてもらえる店に成長させたいです」