「近所のお客さん、商店街の店主さんに子どもつながりのパパ友やママ友、知っている人が増えていく毎日って楽しいです。あたりまえに挨拶が交わされるまちに根付いた店を持つことに憧れていました」
オーナーの千葉さんは飲食店勤務時代にワインの奥深さに魅せられ、ワイン業界に身を投じることを決意、インポーターとして15年間の経験を積みました。さまざまな国のさまざまな生産地で生まれた、まだ日の目を見ぬたくさんの素晴らしいワインと出会い、その生産者の情熱を知るにつけ、自分で店を持ちたいとの思いが膨らんでいったそうです。
「レストランや酒屋から求められるのはどうしても知名度の高い銘柄が中心になってしまいます。でも世界にはまだまだ素晴らしいワインがたくさん。それをわかっていて紹介しきれないのはもったいないというか、自分のなかの正義ではなかった。自分が心から美味しいと思うものを自分の言葉ごとお客さんに届けていきたい。都会のなかでいち商品として消費させてしまうのではなく、目の前のひとを大切にしながらまちにゆっくりワイン文化を染みこませてみたいと思ったんです」
そんな思いから選び抜いたのが二子玉川の商店街の路面店の物件でした。どこかなつかしさを感じさせながらも価値ある本物をラフにカジュアルに、でもとびきりかっこよく提供するのが「NEW VALLEY」の商いの信条。ワインセラーには千葉さんがセレクトしたワイン好き垂涎の品がずらり、常駐の焙煎士による自家焙煎のコーヒー、希少なクラフトビール、ハイクオリティーな手作り料理の数々、厳選した調味料やおつまみも陳列しています。人気商品のひとつ「みたらしナッツ」は1キロに1時間もの手間ひまかけて調理するこだわりようです。
営業時間は朝9時から夜遅くまで。買い物でも飲食でも、訪れたいときにいつでも開いている、重宝される店でありたいとの強い思いから。店奥には角打ちスペースと位置づけているおしゃれなカウンターバーがあります。
夜勤明けのお疲れさまの1杯のワインを楽しむ医療関係者、丁寧に抽出されたコーヒーをゆっくり味わいに来る会社員、お気に入りの調味料を買いに来る主婦、まちの人の生活のそれぞれのシーンで求められ、役立つ存在でありたいから「ワイン専門店」や「セレクトショップ」を超越した「まちの酒屋さん」であることにこだわり続けています。
「二子玉川は感度の高い人が多く暮らしています。張りぼての商売は決して通用しない、本質が選ばれると思っています。だからこそやりがいがあるんです。試行錯誤しながら、アップデートして、この先ずっとここにある、未来の老舗店になりたいと思っています」
