「小学校の先生に勧められて書道塾に通い始めたました。筆一本で自分を表現できることが楽しくなり、書道にすっかりはまって高校時代は書道部へ。若かりし当時はその道で生きていこうとまでは思いは至りませんでしたが、書道への思いはずっとくすぶり続けていました」
下司先生の前職は一流デザイナーズブランドのパリコレ・デザイナー、そしてファッション業界向けコンサルティング会社での企画コーディネーターと忙しくも華やかな世界でサラリーマン人生を送ってきました。国際交流の機会も多く、日本人である誇り、日本文化の素晴らしさを改めて見つめ直すことも少なくなかったそうです。
50歳を前にしてお稽古として通い始めた書道教室で、書道への情熱が再燃したそう。ご自身が運命だったと振り返る、雲の上の存在の師匠との出会いもきっかけとなり、書道家となって生きていくことを決意。師匠の元で書道に没頭するなか、その奥深さにどんどん引きこまれていきました。素晴らしいこの文化を次世代へ継承していくことこそが書道界への恩返しと思うようになり、書道塾を設立しました。
「生徒さんは5人ほどで永福町の小さなレンタルスペースからスタート、その後、明大前でも、とのお声掛けをいただき、2つめの教室を運営し一昨年こちらに移転する運びとなりました。たくさんのご縁に恵まれて指導歴は気がつけば12年になります。学校帰り、仕事帰りに手ぶらで来てもらえるよう道具をすべてこちらで揃え、レッスン時間も出来る限り広く設けるなど、気軽に通える新しいカタチの書道塾を目指しています。通塾への敷居を下げることでたくさんの人に書道の魅力に触れてもらえるなら、との思いからです」
年齢も性別も関係なくすぐ始められて息長く続けられる書道。また、基本を身に付ければ、短時間の練習でも見違えるほど上達出来ることもその魅力だそうです。日々指導にあたるなか、技術の上達はもちろん、書道を通して正しい姿勢や集中力、観察力や細やかな気づき、周囲への配慮など、屋号に込めた「おもいやり」が自然と育まれていくことを実感しているそうです。
「正しく、美しい文字を書けることは一生の宝物、そして文字を丁寧に大切に書く習慣は自分を大切にすることに他ならないと思っています。便利に、早くという時代の流れとは対極にある文化かもしれませんが、真っ白な半紙を前にご自身と向き合う時間はきっとかけがえのない時間になると思います。体験レッスンもあるのでお気軽にお問い合わせください」