アメリカで生まれ、横田基地のある町で育ったオーナーの岩槻さん。アメリカ文化を身近に感じながら育ったそうです。自身の価値観と違和感を感じずにいられなかった日本の大学生時代、休学をしアメリカ留学、ホームステイ先の仕事を手伝いながら、グラフィックデザインを学びました。
「日本のいわゆる『普通の生き方』が肌に合いませんでした。でも離れて気づいたのはやっぱり日本が大好きだってこと。いずれ何者かになって日本の役に立ちたいと漠然と考えるようになっていました」
帰国後、人気の輸入食材店を展開する企業に就職、ホームページ制作やインターネット販売、デザイン事業に関わるなか、世界中から集まってくる食材の販売に興味を持ち、「食」への関心を高めていきました。さまざまなノウハウを携えて老舗果物店に縁あって転職、10年間果物の扱いをしっかり学びながら、イベント出店やケータリングという事業を展開。いつしか果物の魅力をしっかり世に伝ていくことで、 産業自体の活性化に取り組むことに心が動かされていたそう。
満を持して同店を開業、掲げたテーマは「美しく、楽しく、余すことなく」。とりわけ「楽しく」を大事に捉えています。
「売る側の僕らがもっと工夫をすれば、果物の需要は増えていくと確信しています。そもそも美しくて美味しくて栄養価もたっぷり、魅力的な人気食材のはずですから」
生鮮果物、果物を使った加工品を店頭とインターネットで販売しているほか、ケータリング、デリバリー、お客さんの会場に出向いてのフルーツディスプレイ、そして自主イベント開催、イベント出店と「売る」だけではない事業を岩槻さん自身も「楽しみながら」精力的に手掛けています。
「配達やイベントで跳び回っています。たくさんのお客さんに会うことで、商品の説明や思いもきちんと出来ますし、お客さんのニーズも肌で感じることが出来ます」
味にまったく問題はないのにカタチやサイズで流通の過程ではねられてしまう果物を活用するエシカルフルーツへの取組にも積極的です。旬の果物は絶品のジュースやジャムなどの加工品に姿を変えていきます。特に完全オリジナルの無添加「ドライフルーツ」は看板商品。近所の子育て中のママたちの御用達にもなっています。
「実店舗は地域のお客さんとのふれあえる貴重な機会です。まずはいろんな切り口で果物の素晴らしさを知ってもらうこと。そしてうちのような商いがビジネスとして成り立てば、業界に参入してくる若者もきっと増えてくれるはず。元気のない業界を再構築することが大きな目標です」