ヘアメイクアーティストのマネージメント業も営むかなさん、子育てが一段落したタイミングで趣味だったパンづくりを本格的に学ぼうとパン教室へ。持ち前のセンスでその腕を上げていくなか、差し入れた撮影現場や自身の知人たちから予想以上の嬉しい反応が。次第に「つくる」ことから「食べて喜んでもらえる」ことを仕事にしたいとの想いが募りました。

「いい材料だけを選んで焼き上げる全てが無添加パンです。美味しさはもちろん、消化がよく重さの残らない身体への優しさも追求しています。米粉にしたり、国産小麦にはライ麦を混ぜたり、バターをオリーブオイルで代用したり」

焼き上げたパンをどうしたらいろんな人に届けられるか考えるなか、数年前に物件の立ち退きで地域に惜しまれながらやむなく閉店したイタリアンのシェフとタッグを組んで、平日はダイニング、週末はカフェ形式の「Canari」を開業することに。
「皆さんが待ち望んでいたシェフの料理があれば必ず喜んでご来店いただけると思いました。私がご提供できるパンは2、3種類の数十個だけですが、その分、愛情いっぱいに焼き上げています。お料理と楽しんでいただくことはもちろん、店頭でパンだけもお買い上げいただけます」

お腹いっぱいで帰ってもらうことを信条とするシェフの創作イタリアンは驚くほどボリューム満点、人気のほろほろととろけるスペアリブをはじめ、どれも小さな子どもにも安心してシェアできる優しい味付けばかり。

「ご近所のお客さんばかりですから、食べきれない方にはお持ち帰りいただいています」
身体のために「地元で取れる旬の野菜」をどうしても取り入れていきたいと仕入れ先を探していたところ、等々力で400年続く有機農法のパイオニア「大平農園」と出逢い、その理念と素晴らしい品質にすっかり惚れ込みました。

「毎週農園に足を運んで、お話しします。旬のものが詰め込まれた箱を開けるのはワクワク。料理はもちろん、パン生地にも練り込みます。『小松菜の米粉パン』など好評です。愛情いっぱい手間ひまかけて育てられたお野菜の香りや甘みを余さずお伝えしようと腕がなります(笑)。農園の方がお店に来てくださることもあり、ご縁に感謝感謝です」

居合わせた知らないお客さん同士の会話が自然と弾み、顔見知りに。年配のご夫婦が家族連れのお子さんを孫のように可愛がってくれたり、わんちゃんがいろんな人のお膝であやされたり。そんな光景を「帰省したときの親戚たちみたい」とはお客さんの言葉。道を歩いているだけでは知り合えなかった人が「Canari」でつながっていきます。
「美味しいと伝えてもらえること、残さず食べてもらえること、お客さんが楽しそうに過ごしていること、すべてがただただ有難くて嬉しくて。もう若くはないので(笑)限られた営業時間ですが、細く長く地域に根付けるよう頑張ります」



