とびきりの笑顔でお客さんを迎えるマダムに奥の厨房で料理づくりに専念するシェフ。ときにカウンターの隅で宿題をする息子さんの姿。イマドキのおしゃれな店づくりでありながら、どこか昔の商店街のお店のようなアットホームな雰囲気がお客さんを包み込みます。

シェフの髙橋さんは中学生時分、夜勤の多かったお母さまに代わって休日にチャーハンや焼きそばを見よう見まねで作り、家族に喜ばれたことが料理人を目指す原体験だったと振り返ります。料理人になって自分の店を持ちたい、高校卒業の進路選択時に胸の内にあった思いに気づき、辻調理師専門学校へ、
「フランス料理の道を選んだのは、知らないことだらけで新鮮だったから(笑)。異国料理の伝統技法を学んであんな美しい料理を作りたいと俄然興味が湧きました」

研修やワーキングホリデーで渡仏しリヨン、パリのレストランで修行。帰国後はいくつかの名店を渡り腕を磨きました。特に「ル・ブルギ二オン」での下積み経験で店づくり、味づくりの基礎を、「ル・トレトゥール024」でフレンチを惣菜で表現する手法を、2店の尊敬する師匠からの学びと経験を詰め込んで「C’est mon cœur」を開業しました。
前菜にサラダにメインにデザートも。テイクアウトだけではなく、温め直しや盛り付けが施されたお惣菜を店内でも楽しめるのが同店の使い勝手のよいところ。好きな惣菜を選んでサクッと飲むのはもちろん、自分好みのランチやディナーにカスタマイズも。


「開業にあたり、うちの柱となる食材選びの旅をし、たくさんの生産者さんと知り合い、丹精込めて育てられた食材を直送いただいています。皆さんの情熱、ご苦労に頭が下がり、これは大事に使わせてもらわないといけないという思いがより強くなりました。仕入れた食材を惣菜というカタチに変えて余すことなく活用し、お客さまからの『美味しい』を生産者さんに届けるところまでが僕の役割だと思っています」

毎週2日火曜土曜のみ、10人限定で月替わりのランチメニューを提供しています。フランスの郷土料理を中心に、エスニックや和の技法も施した髙橋さんの創作料理の世界観がワンプレートにギュッと凝縮されています。

「出来立ての料理を提供できる僕にとっても貴重な機会です。注文を受けてから、ひとつひとつ野菜も火入れをしています。けっこうお待たせしてしまうのですが、楽しそうに待っていただけることがありがたく、『よしもっともっと美味しく』と腕がなります」
開業をきっかけに祖師ヶ谷大蔵へ引っ越し、息子さんも地元小学校へ入学。ご夫婦にもママ友パパ友が増え、大好きな「第2の故郷」となったそうです。
「自分たちもずっと共働きで、子育てをしながらの日々の食事づくりの大変さは身に染みています。愛情込めたうちの料理がその代わりになれたら。このまちにしっかり根付ける店となって地域の皆さんと年を重ねていくことが我が家の目標です」



