勝色のスタッフTシャツとキャップがトレードマーク、元気に店を切り盛りする大将の村越さん。三軒茶屋にあった老舗中華料理店で生まれ育ちましたが自身は和食の道へ。調理師専門学校を卒業後、京都の生け簀割烹、赤坂の有名料亭で修行。独立後、コロナ禍で変わりゆく飲食業のあり方を模索するなか、老若男女に愛され主食となるうどんに注目しました。横浜元町にて和食で培ったノウハウを生かしたうどん店をプロデュースから手掛け人気店に育て、満を持して明大前での開業に至ります。
「もとは特にうどん好きっていうわけではなかったんですが、研究のため365日うどんを食べるようになったら、どんどんうどん好きに。調理の工夫次第で毎日食べても飽きない、その奥深さに気づかされました。手軽なイメージのある食べ物ですが、たかがうどん、とりあえずのうどんではなく、心から美味しいって感じてもらえるものを追求しています。チェーン店の価格帯ではないけれど、一度うちの味を知ってもらえればその理由がわかってもらえると思います」
村越さんの毎朝は自店で粉を配合し、麺を打つところから。無添加のブランドだし醤油をベースにしただし汁、注文を受けてから揚げる天ぷら、4時間かけて調理をする豚角煮のつけ汁など、手間ひま惜しまない和食づくりの心意気が随所にあふれています。お客さまに提供している飲料水を始め調理に使用している水はすべて超軟水。身体にいいものを、という部分もこだわりです。
「食材のよさ、味のバランス、食感の面白さ、見た目の美しさ、どれも大事にしています。毎日のように来てくださる方にもおっと思っていただけるようなメニュー開発を進めていきます」
夜は一品料理とお酒、〆のうどんを楽しめる乙な吞み処に。自家製の厚揚げ、旬の野菜の天ぷらなど、手の込んだ一品料理を数々楽しめます。カウンターでの一人飲みはもちろん、井の頭線を臨めるテラス席もあり仲間や家族連れでもゆっくり食事を楽しむこともできます。
「明大前は学生さんの多いイメージでしたが、思っていた以上に地元にお住まいの皆さんが足を運んでくださっています。『頑張ってずっとここでお店やっていてよ』なんてすでにはっぱをかけられていますが(笑)。『おうどんがこんなに美味しいと思ったことはなかった』『うどん嫌いな子なのにここのおうどんだけは食べてくれる』、そんな有り難い言葉を裏切らないようこの先も丁寧な仕事を続けて、地元の皆さんにしっかり愛される店にします」