ここ松原で生まれ育った伊東先生、忙しい仕事の合間をぬって下高井戸商店街の理事、地元の消防団員としても活躍しています。
「自分を育ててくれた大好きなこのまち、少しでも恩返しが出来たらと思っているんです。小学生のときは暗くなるまで赤松公園で走り回って、ときには自転車で羽根木公園まで遠征(笑)。松沢児童館では跳び箱に夢中でした。振り返れば、思い切り遊べる環境のあった時代でしたね」
中学時代は少年野球の強豪クラブチームのピッチャーとして活躍しながら、学校の部活で陸上部、バレーボール部に所属するほど、根っからのスポーツ大好き少年だったそう。その後の出身小学校のBOP指導員や出身野球チームのコーチや監督の経験を通して子どもたちへの指導の面白さを実感、体育の先生を志して夜間の体育の専門学校に進学しました。
「通学しながら日中は縁あって私立幼稚園の体育指導をしていたのですが、子どもたちの運動能力に愕然とさせられました。ケガをさせないことに神経をすり減らす現場の先生の大変さを痛感すると同時に、何より子どもたち自身のために『ケガをしない身体づくり』を小さなうちにこそ身につけてあげたい、自分の使命みたいものを感じました」
最初はひとりの生徒からスタート、マンツーマンでの体育の家庭教師や大手スポーツクラブ、スイミングクラブと運動指導のさまざまな現場で指導力を磨き上げるなか、口コミで生徒はどんどん増え、8年前に自身の思いを詰め込んだスポーツクラブ下高井戸校をオープンしました。そして、2校目がこの松原校です。基礎運動、跳び箱やマット運動などの学校体育の指導を通してケガをしない身体づくりを目指しています。
「スタッフ一同『運動を嫌いにさせない』そして『身体を動かすって楽しい』と感じてもらえることを何より大事にしています。身に付けた運動能力はきっと一生涯の財産になりますから。うちの指導をきっかけに将来、野球でもサッカーでも自分の好きなスポーツを突き詰めてもらえたら嬉しいですね」
子どもたちが積み重ねた練習の先で達成する「初めて出来た記念日」を共有できることがかけがいのない瞬間。子どもたちの笑顔、「先生ありがとう」の言葉はたまらず、「もっともっと向上させてあげたい」、ますますその気持ちが高まります。
「運動の苦手を克服することで子どもたちの自信を育み、上手くいかなかった友だち関係が変わったり、学校の勉強に前向きになれたりします。日頃は出来たことをたくさん褒めていますが、失敗した友だちをけなすようなことがあれば、そこはきちんと注意しています。運動を通して人間的にも成長していってほしいんです」
ときに都会を離れ、自然に触れることも子どもたちの成長に大切であると考え、夏は水泳キャンプや離島でのキャンプ、冬はスキー教室も精力的に開催しています。親元を離れて普段できない貴重な体験が出来ると人気のプログラムになっています。
「子どもたちの成長はほんとに早いです。僕たちが関われるのは数年ですが、心身共にたくましい『パオパオっ子』をこれからもたくさん輩出したいと思っています」