
15年前、老朽化した青果店舗の建替えを機に野菜が主役のカフェ「やおまんキッチン」を併設開業しました。青果店に嫁ぎ、野菜の素晴らしさに魅せられ、野菜ソムリエの資格を取得した3代目の奥さま裕子さんの提案でした。
「『この野菜どんな味がするの』『この野菜どう料理したらいいの』と店頭で聞かれお答えすることが多かったんです。主人が仕入れる品は『やおまんさんでしか野菜は買えない』と言っていただける間違いのないものばかり。その美味しさを知ってもらうためにも料理にするのが一番だと思いました」

もともと料理上手な裕子さん、20年間、3世代の大家族の台所を守るなか、自然と家庭料理の腕前を磨き続けてきました。ビジネススクールと調理学校に通い、経営の学びを重ね開業。現在は会社員から店に戻った長男の4代目武蔵さんと共に厨房に立っています。

「肉と魚の日替わり」、6種ものたっぷりの薬味でマグロが隠れてしまう「ネギトロ丼」、本来廃棄される玉ねぎや人参の皮、パプリカの種、セロリの葉などを煮出した自家製野菜出汁ベジブロスで煮込んだ「カレー」をメインに、野菜の副菜をたっぷり添えて提供しています。使用する野菜は生、煮物、焼き物、漬物と味も調理法もかぶらないように30種ぐらいという徹底ぶり。味噌をほとんど使わないベジブロスの出汁が決め手の滋味深い豚汁もほかでは味わえない逸品です。

開店以来日常使いとして通うご近所の方から、遠方からわざわざ毎月車で来店される方まで。カフェを名乗りながらも、まるで地域の学校給食のような、栄養素をとことん意識したメニューでお客さんの健康を支え続けています。早々に売り切れ看板が出ることも少なくありません。血圧が下がった、風邪を引かなくなったなどお客さんからの嬉しい報告がやりがいになっています。

「新鮮な野菜は栄養の宝庫、サプリメントで代用できるものではありません。旬の野菜を中心にたくさん食べてほしいですね。これでもかと野菜をたっぷり提供させていただいています。特殊な調味料は使わず、ご家庭でも再現いただける飽きのこない味付けを心掛けていますので、気になったものがあったら、どんどん聞いてください。企業秘密はありませんから(笑)」
長年まちの青果店としてやってこられた地域への恩返しの気持ちが同店経営の原点。1週間分のランチの献立を立てるなか、販売している野菜を活用するだけでなく、ランチメニューのためにわざわざ単品で仕入れてしまう野菜も少なくないそう。「いつからか原価計算はもうやめています」と裕子さんは笑います。

「コロナ禍以来好評で4代目が毎週金曜日に続けている炭火焼き鳥もそうですが、お客さんに喜んでもらえることが私たちの喜び。私、ずっとパン作りを習っていて、近いうちに野菜を練り込んだパンもご提供したいと準備中です。いろんなことに挑戦しながら時代に合わせて『やおまん』の大事な看板を守ってまいります」


